本記事の要点
この記事ではIntel Celeron N4500のゲーミング性能について、海外の詳細なベンチマークデータと実ユーザー体験に基づいて徹底分析します。低予算ゲーミングPCを検討している方やノートPCゲーミング性能に関心がある方必見の内容です。Celeron N4500の統合グラフィックス性能や実際のゲームプレイ体験、他CPUとの比較まで、購入判断に役立つ情報を網羅的に解説します。
- Intel Celeron N4500とは?基本スペックと特徴
- Intel Celeron N4500のゲーミングベンチマーク分析
- Celeron N4500のユーザー体験は?実際のゲーミング報告
- Intel Celeron N4500の比較評価:他のCPUとのゲーミング性能差
- Celeron N4500でプレイ可能なゲームはあるのか?
- Celeron N4500のゲーミング性能に関するよくある質問
- N4500を使用する場合のゲーミング体験向上テクニック
- まとめ:Intel Celeron N4500のゲーミング適性評価
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Intel Celeron N4500とは?基本スペックと特徴
Intel Celeron N4500は、2021年第1四半期に発表されたJasper Lakeファミリーに属するデュアルコアプロセッサです。主に低価格帯のノートブックPC、Chromebook、およびその他の電力効率が重視されるデバイス向けに設計されています。
主要スペック一覧
項目 | 仕様 |
---|---|
コア/スレッド数 | 2コア、2スレッド |
ベースクロック | 1.1 GHz |
ブーストクロック | 最大 2.8 GHz |
L3キャッシュ | 4 MB |
TDP (熱設計電力) | 標準 6W、SDP 4.8W |
製造プロセス | 10nm |
発売時期 | 2021年第1四半期 |
統合グラフィックス (iGPU) スペック
Intel UHD Graphics (Jasper Lake 16 EU) を搭載しており、ゲーミング性能を理解する上で極めて重要な要素です。
- アーキテクチャ: Gen11
- 実行ユニット(EU)数: 16 EU
- グラフィッククロック: ベース 350 MHz、ブースト最大 750 MHz
- 理論性能: 約 0.2 TFLOPS (FP32)
- メモリ: システムRAMに依存(共有メモリ)
- API対応: DirectX 12、OpenGL 4.5、OpenCL 1.2、Variable Rate Shading (VRS)
💡 重要ポイント
Celeron N4500の6WというTDPは極めて低く、ファンレスデザインのノートPCに適していますが、ゲーミング性能には大きな制約となります。CPUとGPUの両方が電力を分け合うため、持続的な高負荷タスクではパフォーマンスが著しく低下します。
Intel Celeron N4500のゲーミングベンチマーク分析
Celeron N4500ゲーミング性能を正確に把握するため、海外の信頼性の高いベンチマークデータを分析しました。以下のデータは主にNotebookcheckによって報告されたIntel UHD Graphics (Jasper Lake 16 EU)のゲーミングベンチマーク結果をまとめたものです。
現代的/要求の高いゲーム(2018年以降)
ゲームタイトル | リリース年 | テスト解像度 | テスト設定 | 平均FPS | プレイアビリティ |
---|---|---|---|---|---|
F1 22 | 2022 | 1920x1080 | Low | 0 (起動せず) | プレイ不可能 |
Elden Ring | 2022 | 1920x1080 | Low | 5.2 | プレイ不可能 |
F1 2021 | 2021 | 1280x720 | Low | 19 | プレイ不可能 |
Total War: Three Kingdoms | 2019 | 1280x720 | Low | 15.2 | プレイ不可能 |
Shadow of the Tomb Raider | 2018 | 1280x720 | Low | 7 | プレイ不可能 |
これらの結果は、iGPUが最新のゲームエンジンや複雑なグラフィックスを、可能な限り低い設定と解像度でさえ処理できないことを明確に示しています。フレームレートは、プレイ可能と見なされる最低閾値(通常30 FPS)をはるかに下回っています。
古い/要求の低いゲーム(2018年以前)
ゲームタイトル | リリース年 | テスト解像度 | テスト設定 | 平均FPS | プレイアビリティ |
---|---|---|---|---|---|
Strange Brigade | 2018 | 1280x720 | Low | 16 | プレイ不可能 |
Far Cry 5 | 2018 | 1280x720 | Low | 7 | プレイ不可能 |
X-Plane 11.11 | 2018 | 1280x720 | Low | 12 | プレイ不可能 |
Final Fantasy XV | 2018 | 1280x720 | Low | 6 | プレイ不可能 |
The Witcher 3 | 2015 | 1024x768 | Low | 11 | プレイ不可能 |
GTA V | 2015 | 1024x768 | Low | 13-25 | プレイ不可能/不安定 |
2015年の古いタイトルでさえ著しく苦戦しており、GTA Vは一部のシステムで約25 FPSに達する可能性を示していますが、テスト結果に大きなばらつきがあり、不安定さを示唆しています。
eスポーツ/軽量タイトル
ゲームタイトル | リリース年 | テスト解像度 | テスト設定 | 平均FPS | プレイアビリティ |
---|---|---|---|---|---|
Dota 2 Reborn | 2015 | 1280x720 | Low | 48 | プレイ可能 |
Counter-Strike: GO | 2012 | 1024x768 | Low | 57.6 | プレイ可能 |
これらの古く、高度に最適化されたeスポーツタイトルだけが、実質的な動作の兆候を示しています。CS:GOは低設定、低解像度でプレイ可能と思われます。Dota 2は低設定ではプレイ可能ですが、中設定ではすぐに限界に達します。
⚠️ 注意点
ベンチマーク結果は理想的な条件下での測定値です。実際の市販ノートPCでは、RAMの構成(シングルチャネルの場合)や冷却性能の制限により、さらに低いパフォーマンスとなる可能性があります。
- 多くのN4500搭載ノートPCは4GBのRAMしか搭載していない
- シングルチャネルRAM構成の場合、iGPU性能が25-60%も低下する
Celeron N4500のユーザー体験は?実際のゲーミング報告
N4500ゲーム対応の実状を把握するため、海外のフォーラム(主にReddit)やビデオレビューから得られた定性的なデータを統合し、実際のユーザー体験を分析しました。
全体的な評価:圧倒的に否定的
ユーザーはゲーミング用途でのCeleronプロセッサの使用を一貫して推奨しておらず、以下のような表現が頻繁に見られます:
- 「電子ゴミ (e-waste)」
- 「痛々しいほど遅い (painfully slow)」
- 「悲惨な体験 (miserable experience)」
- 「最悪の部類 (as bad as it gets)」
その非力さを強調するために、古いCore i3/i5や、時には2006〜2008年のCore 2 Duoよりも性能が低いとの比較も見られます。
特定ゲームに関するユーザー報告
AAA / 要求の高いゲーム
一般的に不可能または壊滅的です。あるユーザーはShadow of the Tomb RaiderとCyberpunkをテストし、ベンチマークは実行できたもののゲームは常にクラッシュしたと報告しています。GTA Vはプレイできたものの、レンダリングの問題を伴い、極めてカクカクしていたとのことです。
古い / 軽量なゲーム
いくつかの限定的な成功例が報告されていますが、多くの場合、厳しい条件付きです:
- Skyrim / Fallout New Vegas: パフォーマンスMODを使用して720p/30fpsで実行できたという報告あり
- 2Dインディーゲーム: Stardew Valley、Terraria、FTL、Hotline Miami、Papers Pleaseなど
- Minecraft: 体験談にはばらつきがあり、最低設定(描画距離2チャンク)で約30fpsという報告がある一方、起動すらしないという報告も
エミュレーション
古いコンソール(PSP、NDS、GBA、PS1、SNES)のエミュレーションの可能性が示唆されています。パフォーマンスはエミュレータと特定のゲームに大きく依存します。
Intel Celeron N4500の比較評価:他のCPUとのゲーミング性能差
低予算ゲーミングPCの選択肢として、N4500がどの程度の位置づけにあるのかを理解するため、他のプロセッサとの比較分析を行いました。
同世代のCeleron/Pentium (Jasper Lake) との比較
- クアッドコアのCeleron N5100は、デュアルコアのN4500と比較して、グラフィックス性能が大幅に優れています(3DMark Sling Shotで最大73%高い)
- N5100/N6000は16 EUに対して24または32 EUを搭載しており、ゲーミングにおいて顕著な改善を提供します
Intel Coreプロセッサとの比較
古いIntel Coreプロセッサ
- N4500の全体的なCPU性能は、2013年のCore i3-4010Uのようなはるかに古いモバイルプロセッサに匹敵するレベル
- ユーザーは古いCore i5やCore 2 Duoでさえ、ゲーミングを含む一般的な使用でCeleronを上回ると報告
同時代のIntel Coreプロセッサ
- 第11世代Core i7-1165G7はCPU性能で4〜7倍、GPU性能(2 TFLOPS vs 0.2 TFLOPS)で10倍の差
- 第10世代Core i3-1005G1も、より高性能なiGPU(0.5 TFLOPS)を備え、CPU性能で1.5〜2.5倍高速
性能位置づけの結論
N4500は現代のx86ゲーミングパフォーマンスにおいて絶対的な最下層に位置します。同時代のCore i3/i7プロセッサだけでなく、同じJasper Lakeファミリーの上位Celeron/Pentiumにも大きく遅れをとっています。
💡 購入アドバイス
わずかな予算増加でエントリーレベルのCore i3(例:i3-1005G1)やAMD Ryzen(Radeon統合グラフィックス搭載)に移行するだけで、基本的なユーザビリティや軽量ゲーミングに関して不釣り合いなほど大きなパフォーマンス上の利点が得られます。
Celeron N4500でプレイ可能なゲームはあるのか?
Celeron N4500ゲーム対応の可能性を探るため、様々な情報源から収集したデータを基に、実際にプレイ可能な限定的なシナリオを特定しました。
プレイ可能性のあるゲームカテゴリ
- 非常に古いPCゲーム: 2010年以前のタイトル(例:MODを使用したFallout 3/NV)
- シンプルな2Dインディータイトル: グラフィック要求が最小限のもの(例:Stardew Valley、FTL、Papers Please)
- 古い、高度に最適化されたeスポーツタイトル: 絶対的な最低設定と低解像度での使用(例:CS:GO、Dota 2)
- 非常に古いコンソールのエミュレーション: SNES、GBA、可能性としてNDS/PS1
プレイする際の重要な注意点
- [ ] パフォーマンスは不安定な可能性がある
- [ ] 大幅な調整(MOD、設定ファイルの編集)が必要となる場合がある
- [ ] システムRAM構成(デュアルチャネル推奨)に大きく依存する
- [ ] 「プレイ可能」とは、多くの場合30 FPS前後を意味する
- [ ] 視覚品質を大きく犠牲にする必要がある
Celeron N4500のゲーミング性能に関するよくある質問
Celeron N4500でマインクラフトはプレイできますか?
マインクラフトは設定とバージョンに大きく依存します。Java版よりもBedrock版の方が軽量で動作しやすい傾向にあります。最低設定(描画距離2チャンク程度)にすれば、約30FPSで動作する可能性がありますが、MODの使用やワールドが複雑化すると大幅にパフォーマンスが低下します。
RAMのアップグレードはゲーミング性能を向上させますか?
はい、ただし限定的です。多くのN4500ノートPCは4GBのオンボードRAM(増設不可)を搭載しています。増設可能なモデルの場合、8GBにアップグレードすることで若干の向上が見込めます。特にデュアルチャネル構成にできる場合、iGPU性能が25-60%向上する可能性があります。
WindowsとChrome OSのどちらがゲーミングに適していますか?
一般的にはWindowsの方がゲームの互換性は高いですが、N4500の性能制約を考えると、Chrome OSの方が軽量でシステムリソースの消費が少ないため、限られたゲーミングには有利な場合があります。ただし、Chrome OSではプレイできるゲームの種類が大幅に制限されます。
なぜN4500はゲーミングに不向きなのですか?
主に以下の理由があります: 1. 2コア/2スレッドという限られたCPU構成(多くのゲームは4コア以上を推奨) 2. 非常に弱い統合グラフィックス(16 EU、0.2 TFLOPS) 3. 6Wという極めて低いTDP(持続的な高負荷に対応できない) 4. 共有システムRAMへの依存(専用VRAMの欠如) 5. 限られたL3キャッシュ(4MB)
N4500を使用する場合のゲーミング体験向上テクニック
エントリーレベルCPUゲーム体験を少しでも向上させるために、以下のテクニックが有効な場合があります。
システム最適化テクニック
パフォーマンス優先モードの設定
- Windowsの電源設定を「高パフォーマンス」に変更
- ゲーム実行時に不要なバックグラウンドプロセスを終了
RAMの最適化
- 可能であれば、デュアルチャネル構成にする
- 仮想メモリの設定を最適化
ドライバーの更新
- Intel Graphics Commanderを使用して最新のグラフィックドライバーをインストール
- チップセットドライバーも最新の状態に保つ
ゲーム設定テクニック
- [ ] 解像度を640x480や800x600などの極めて低い値に設定
- [ ] すべてのグラフィック設定を最低に設定
- [ ] config.iniファイルなどを直接編集して、ゲーム内設定よりさらに低いオプションを有効化
- [ ] 可能であれば、パフォーマンス向上MODをインストール
- [ ] FPSリミッターを30FPSに設定して安定性を優先
まとめ:Intel Celeron N4500のゲーミング適性評価
Intel Celeron N4500は、ゲーミング性能という観点では極めて厳しい制約があります。客観的なベンチマークとユーザー体験から得られた結論を以下にまとめます:
- ゲーミング適性: 現代的または中程度の要求を持つPCゲーミングのいかなる形態に対しても根本的に不向き
- プレイ可能なゲーム: 非常に古いタイトル、シンプルな2Dゲーム、高度に最適化されたeスポーツタイトル(最低設定)に限定
- パフォーマンス制限: 2コア/2スレッドCPU、16 EU iGPU、6W TDP、共有メモリ依存などの根本的な制約
- 推奨: ゲーミングを目的とする場合は、少なくともCore i3またはAMD Ryzen(より強力な統合グラフィックス搭載)を選択することを強く推奨
Intel Celeron N4500は、ウェブブラウジング、ドキュメント編集、メディア視聴といった基本的なタスクには適していますが、ゲーミングのようなグラフィックス処理や計算処理を必要とする用途には不向きな設計となっています。予算に制約がある場合でも、わずかな追加投資で大幅に優れたゲーミング体験が得られる選択肢を検討することをお勧めします。
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最終更新日: 2025年4月9日